おはなすび の オススメ

〜 本・マンガ紹介 〜

バイトしながら夢追うことに罪悪感を感じてしまう人へ

【一緒に遭難したいひと・西村しのぶ

 

「もしもこれで食っていけたら」とか。

「何を言われようとも、これがやりたいんだ」とか。

 

せっかく人生をかけてやりたいことや、目指したいことを見つけたのに、何故だか自信を持って人に言えず、コソコソしてしまったことってないだろうか?

 

バイト先に新しい人が入ってくるたびに「何かされてるんですか?」という質問が飛んでくるのが怖くて

 

こう言ったら理解してもらえるかな?・・・みたいな、世間的な納得が得られそうな答えばかりを探しては「私、何やってんだろう・・・」みたいな。

 

理想と現実のギャップにやられて「ワォーーーーン!」と一発。

可哀想なオオカミのごとく、夜空に向かって咆哮してみたくなったことはないだろうか?

 



そんな、夢追い諸君達よ。

大丈夫だ、大丈夫っ!

 

その気持ち、今まで死ぬほど味わってきたおばちゃんが、今この瞬間、お主の心を楽にしてしんぜよう。

 

いいか!誰になんと言われようとも、まず自分で自分の「好き」を見つけられて、なおかつそれを「仕事にしたい」と思えた時点で、お主はもうこの世の選ばれし人間なのだ。

 

多くの者は、子どもの頃にはあったはずの「好き」を、あらゆる角度のおまじないでもって何故だか封じ込めてしまう。

 

「もういい歳なんだから」「昔は俺も」「才能のある一握りの人間しか」

みな、揃いも揃って同じような呪文しか唱えない。

 

 

でも、お主は違った。

 

自らの手で封印した剣を「これじゃいかん」と

なんとかもう一度奮い立たせ「うおりゃぁぁぁああ!!」と引き抜くことに決めたのだ。

 

その勇気に、心からの敬意をしめす。

 

だが、この「現実版・リアル人生ゲーム」をプレーするには、一つだけ知っておかなきゃならない大きな落とし穴がある。

 

この世界に生息する魔物というのは、ネチネチと足を引っ張ってくるものや

ただただ気分が下がるような言葉の槍を投げてくるもの、そりゃあもういろんなタイプのものがいるが。

 

中でもダントツに群を抜いて厄介なのが、実は自分の中に潜む「卑屈鬼」だったりする。

 

その鬼は、外部のしょうもない雑魚キャラから受けた「いつまでも何やってんの?」という蔑みの気配をエサに、むくむくと成長し、気づくと自分自身の内側から攻撃を始めてしまう。

 


そしてさらにそれがエスカレートすると、自分だけでなく、自分と同じように何かに向かって頑張っている者に対しても

その矛先を向けるようになり、どんどんどんどん苦しくなっていく。(心理学で言うところの同族嫌悪とかいうやつ。)

 

そう、なる前に。

 

いやなってしまってからでも、やっぱり自分の心に潜む鬼というのも

自分で退治できた方が、物語はより良い方向に、軽やかにすすんでいくのではないだろうか。

 

西村しのぶさんの「一緒に遭難したいひと」という漫画には、やりたいことをやりたいようにやりながら、たまにバイトして、デートもしてみたいな

 

生活は貧乏ではあるものの、決して卑屈になることなく同じような友と、ひらひら人生をすすめてゆく

 

自称・文筆業のほぼニートの女性が出てくる。

 

 

 

 

*****

 

主人公のキリエは、自称・文筆業のほぼニート(27歳)

 

同じくほぼニートの同い年の女の子と、ルームシェアしながら、二人はなんとか生活している。

 

その生活は実にぐうたらで、毎日17時ごろに目を覚ますと夕方のニュースを流しながら、あれやこれや二人でくっちゃべり

 

その後、念入りに化粧をしたかと思うと、二人そろって夜の街へと繰り出す。

 

そして、そのままどっちかの男友達に夕飯をご馳走してもらったあと、調子がいいと、お酒まで奢ってもらい

 

明け方なってふらふらと帰宅すると、寝る間に布団に潜りながら、少しだけパソコンに文字を落としこむような日々。

 

 

これで文筆業、だからすごい。笑

 

「あー恥ずかしい。主婦のパートでももっと稼ぐわよ。」「ほんとねぇ。」

 

なんて言いながらも、年末には確定申告の用紙と睨めっこしながら、いちおう文筆業として世の中への申告も怠らない。

 

そしてたまに、お金がどうしようもなくカツカツになると、日雇いバイトをしに2人で出かけたりもするのだが

 

そのバイト先に来ていた若い女の子達に「ねぇねぇお姉さんたち、何してる人?」と聞かれると

 

「なにもしてないわ」

「だからお手伝いに参上しました~」

 

なんとすがすがしい答えだろうか。思わず口元がにやけた。

 

変なプライドを一ミリも見せず、ただただ軽やかに今を生きていく彼女たちの姿は、見ているこっちも本当に気持ちがいい。

 

そしてその気持ちよさというのは不思議なもので、人にも伝染していくから、当たり前のように彼女達には、仕事につながる縁や、恋の知らせもひらひらと舞い込む。

 

確定申告をしに行った税務署で出会った彼と

 

いつかは私のかく文章で「南の島で印税暮らししてやるぞぉ~」なんていう甘い妄想を膨らませながら・・・

 

今日も彼女はパジャマをまとい、食卓の机でパソコンを叩く。

 

(一緒に遭難したいひとより引用)

 

*******

 

もしも今。

 

せっかく夢を追っているのに、胸を張って人に言えず、バイトもコソコソ肩身の狭い思いをしながら続けている人がいたら、是非とも読んでみてほしい。

 

特に女の子には、かなり心の薬になるんじゃないかなぁ〜と思う^^

 

そしてこれは、完全に私の個人的な気持ちになってしまうのだけれども。

 

もしも今、自分のやろうとしていることが、何一つ成し遂げられていなくても。

世間一般では「もう、ちょっと遅いよね」と言われるような年齢に差し掛かってしまっていても。

 

それでも、それを選び、そうするしかできなかった全ての人に対し、心の奥底から本物の敬意を表する。

 

大丈夫だ。絶対に間違ってなんかない。

 

どうなるかなんてのは、もちろん誰にも分からないけど、少なくとも自分で自分を卑屈の檻に閉じ込めるようなことだけは、しちゃダメだ。

 

もしも卑屈になりそうになった時は、キリエの生き方を覗いてみてほしい。

 

「あぁ~なんだ、これでいいのか」と、今よりもっと軽やかに歩いていけるはずだから。

 

最後に、有名な本の一部をここに^^

 

死ぬ前に後悔する5つのこと

1.「他人の期待に沿う人生ではなく、自分のやりたいことをやっておけばよかった」

2.「あんなにハードに働かなくてよかった」

3.「勇気を持って自分の想いを表現しておけばよかった」

4.「友達と連絡を取り合ってたらよかった」

5.「自分をもっと幸せにしてやればよかった」

 

(死ぬ瞬間の5つの後悔/作;ブロニー・ウェアより引用)